2012年01月06日

どちらが悪いのか

夫「おい、何ふてくされてんだよ。亭主が疲れて仕事から帰ってきたってのに、もっと愛想よく迎えられないのか」
妻「何で電話してくれなかったの。一人でご飯つくって待ってる私の身にもなってよ」
夫「しょうがないだろ。お得意さんの接待中に、家に電話なんかできるかよ」
妻「だってこの間、約束したじゃない。今度帰りが遅くなるときは必ず電話するって」
夫「そんなこと言ったっけ」
妻「あなた、いつも生返事ばかりで、私の話なんかまともに聞いてくれないんだから」
夫「うるさいなあ。そんなにガミガミ言われたら、聞く気にもなれないよ」

………

自分は、相手の不機嫌な態度が気に入らない。
相手は、こちらの突っかかるような言い方こそが不満だという。
自分は、相手がこちらを不愉快にさせるのがいけないのだと思う。

「どちらが悪いか」は、「どこまでさかのぼるか」という問題にすぎない。
相手のほうが悪いと思っていても、一つ前の理由までさかのぼれば、自分が悪いことになる。
双方が、自分の都合のよいところまでさかのぼって文句を言い合っているから、収拾がつかない。

「どちらが悪いのか」という言い争いは、水かけ論に終わり、いたずらに精神を疲弊させるだけである。
「相手が悪いのだから、自分の言動に責任はない」という言い訳は卑怯だ。
過去をほじくり返すのはやめて、今の自分の態度に責任をもつべきである。

「私のほうが絶対に正しい」という主張を押しつければ、それで勝ったつもりになっても、のちのち相手に恨まれることになる。人の恨みをかうのは損であり、賢いやり方ではない。
「強い」ことよりも、「賢い」ことのほうが人間として上等である。

どちらが正しいかは、立場によって違うのだから、たいした問題ではない。自分には自分の言い分があり、相手には相手の言い分がある。
自分の言い分を一方的に押しつけるのではなく、「あなたの気持ちも分かるが、私はこう思う」という言い方をするだけでも、ずいぶんと違う。
「どう折り合いをつけるか」で、自分の知性が試されていると考えればよい。

(文・たかたまさひろ)
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