2011年06月23日

欲望が生み出したもの

離婚したなら、その最大の原因は、結婚したことである。
会社が倒産したなら、その最大の原因は、会社を設立したことである。
高価な宝石が盗難にあったなら、最大の原因は、宝石を購入したことである。

得たものを失ったとしても、それはマイナスではない。プラスがゼロになっただけのことだ。
はじめから修行僧のように禁欲的な生活をしていれば、失うものもなかったはずだ。
しかし、それではあまりに味気ないので、私たちは地位、財産、愛情、賞賛などを求め、ゴテゴテと自分を飾りつけようとする。生きるのに必要以上のものをせっせとため込み、手放すまいと執着する。

何かを欲するのは人間の逃れられない性分だ。
欲望をもつのは悪いことではないが、さして褒められたものでもない。
欲によってよろこびも得られるが、また欲によって苦しめられもするということをあらかじめ了解しておくべきである。

自分の欲望を満たしていたものを失ったからといって、重大な価値が損なわれたかのように悲嘆することはない。損なわれたのは、自分本位な欲望の所産、ただそれだけだ。
丸裸にされて、はじめて自分の人間としての価値が問われるのである。そこから目を背けてはならない。

(文・たかたまさひろ)
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