2011年04月02日

同情は慎重に

「安心して病気がしたい」
ある本で読んだ、がん患者たちの切実な声である。

「お気の毒に」「どうか気を落とさずに」「がんばって」
本人は病気を受け入れ、しっかり前を向いて生きようとしているのに、他人からは「かわいそうな人」と憐れみを受ける。
まわりは励ますつもりで言っているのだろうが、言われたほうは、弱者として見下されるのが我慢ならないそうだ。

「かわいそう」という言葉は、相手を侮辱したと受けとられる危険をはらんでいる。
「くじけないで」という言葉は、「あなたは、すぐにくじける弱い人間だから」と決めつけているようにも受け取れる。
「がんばって」は、「まだまだ努力が足りない」とも。
他人の気持ちをくみ取り、痛みに共感することは大切だが、同情はときに人を傷つけることもあるということは心得ておく必要がある。

心からの同情を示したつもりでも、実際は相手の気持ちの百分の一も分かっていないに違いない。
他人と人生を変わってあげることはできないのだから、せんじつめれば、相手と同じ目に遭わないかぎり、本当の気持ちなんか分かりはしないのだ。

上っ面ばかりの同情を示されても、「あなたに私の気持ちが分かってたまるか」と反感を覚える人もいるだろう。
下手に励ましたり、憐れんだりせず、「私はあなたを気にかけていますよ。困ったことがあったら、いつでも声をかけてください」と、さりげなく見守る態度をとるのがよい。

(文・たかたまさひろ)
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